混ぜてしまった塩と砂糖をどうやって分離するか?
容器に注ぐだけで分離できるのだ。といっても、家庭内では、実用的では無いのだが。
塩と砂糖の混合物を注ぐと地滑りを起こす。地滑りの起こしやすさの違いで塩と砂糖が斜めに走る層状に分離するのだ。下まで落ちた大きい粒子が種となり、これに大きな粒子が(小さい粒子をはじき飛ばして)斜めに積み重なって行く。小さい粒子は大きな粒子の層を覆うように斜めに層を形成する。これが発見されたのは1995年。自然界でも風成砂岩にこれが見られる。
渦と渦がぶつかったらどうなるか。双極渦同士だと、互いに相手を取り込むけれど、双極渦の構造を維持したまま、分離していく。
上記のような面白い研究がいっぱい詰まっている。木星の大赤斑から上記まで。テーマも豊富。図版も豊富。豊富すぎて本文のうらのページに掲載さけているケースもある。
内容は豊富だが、深くはない。
訳は良い。ただ、訳語で疑問を感じるもの、訳注の不足で怒りを感じるものがある。
p129 「マイケル・オンダーチェの小説『英国人の患者』」とあるが、訳注で、映画『イングリッシュ・ペイシェント』原作と補うべきだろう。また、ここが、怒りを覚える点だが、『英国人の患者』は邦訳が出ていて、それは『イギリス人の患者』(新潮社 1999)である。
[トリビアなど]
p106 表面張力の差異で対流が起きる。マランゴニ対流。
p117 マントルなど粘性の高い流体ではマッシュルーム形の上昇プルームが生まれる。
マッシュルーム形のプルームは水にインクを垂らしたときにも観察できる。この形はクラゲの形状にあらわれているとか。(他書にもそんなことが書かれていた。)p119の図など東宝の「宇宙大怪獣ドゴラ」を連想させる。
p122 水の密度は4℃の最大になるので、溶けかかったツンドラでも対流が起きる。氷が上に持ち上げられるので、氷中の石が対流のパターンを示す。
[ミスなど]
p53 流体力学の理論的基盤については本書の最終章で述べるつもりだが、とりあえずはまだ、とくに啓示的な話にはならないとここでは断っておこう。(「啓示的」?)
p129 マイケル・オンダーチェの小説『英国人の患者』(訳注で映画『イングリッシュ・ペイシェント』と付すべき。邦訳は『英国人の患者』では無く、『イギリス人の患者』(新潮社 1999))
p132 砂山の下で圧力(stress)が最も小さいのは、山が最も高いところである。しかし背の高い砂の底辺にかかる圧力(pressure)は、柱の高さに関わらず、一定であり、ゆえに砂時計は優良な計時器となっている。(括弧内は私。訳が正しければ、周りの圧力に押されて山頂は噴砂するのでは。)


by dangun
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